12/08/2019

東金、九十九里と大網

九十九里はよく行った。
東京から東金までは高速があったからそこまで走って、後は細い道を海岸まで
走った。一番最初はひとりだったと思う。
とても気持ちいいところだったから、同じ会社の坪井君に言ったら
よし行こうと言うことになって、ポルシェだったかなあ?いやその前は
ギャランだったか? とにかく夜中にぶっ飛ばして行った。
夜の海岸に男が二人というのもおかしな感じだけど、
坪井君はその時レーザービームの装置を持っていた。
今のように小さなレーザーLEDは無い頃だったので、ガスレーザーだった。
それを海岸に向けて、赤いレーザーを照射していたら、
前に止まっていた、たぶんカップルの車が急いで車を走らせてどこかに行ってしまった。
海岸から海に向けての赤いレーザーはとてもきれいだった。
それが何度目の東金だったか忘れた。

誰かがバイクで足の骨を折った時も、友達と一緒に行った。
あの時は昼だった。
でも冬じゃなかったかなあ?
海岸の砂浜に皆で座って何か食べた。
それからどうしたか覚えていない。
あの時は僕の車に皆を乗せて行った。
ああ、その中に葉月がいた。
なんでいたんだろう?

天文ガイドで知り合った沖縄の穂波さんに会いに行ったことがあった。
穂波さんは沖縄で離婚して慰謝料をたくさんもらったけれど、
そのあとハワイのコンドミニアムにアメリカ人と住んでるとか手紙が来て、
それからしばらくして、日本にいるという手紙が来た。
それが九十九里だった。
九十九里にサーファーの男と一緒に暮らしているとか。
その家は大網の海からすぐ近くの普通の民家だった。
旦那?はいなかったけれど中に上げてくれたて、部屋の中を案内してくれた。
エスニックな御香がたかれていて部屋はその匂いでいっぱいだった。
クリシュナムルティーの本が何冊かあった。
(そういえば僕の本はどうしたろう?前の家かな?)
部屋の飾りもエスニックな感じだった。
部屋に二人でいるのもなんなので外で話をした。
彼女はあの後、慰謝料を全部遣いきってしまったと言っていた。
しばらくいて僕が車で帰る時に見送ってくれた。
帰り際「私たちってキスもしてないし手も触れてないね。どういう関係なんだろうね?」
と言って二人で笑った。
たぶん友達だったんだと思う。
それからしばらくして電話があって「旦那が逮捕されたんでこれから拘置所に差し入れに行く」という電話が最後で、それからは連絡ができなくなってしまった。
今会いたい気がする。
穂波さんはちょっと日本人離れした顔つきで本人もアメリカ人みたいに見られる
と言っていた。
僕は最初からそんなことは気にもしなかった。

九十九里はその穂波さんとこが最後だったかもしれない。