前に会ったのは実にコロナの時だから、3年前かな?
コロナ期はずっと面会時間と面会できる人が限られていて
それを神津さんの奥さんが管理していたため、家族以外は
面会に行けなかった。
それでそのままになっていたのだけど、先日の電話で
奥さんが亡くなってしまったことを聞いた。
それで野池さんと二人で行こうと思っていたのだけど、
野池さんの都合でだいぶ後になりそうだったので昨日行ってきた。
もう時間制限も人数制限も無い。
私が渋谷から電話で「あと30分くらいで着きます」と
言ったため神津さんはずっとロビーで待っていたそうだ。
そのホームの人がそう言っていた。
神津さんは前に会ったときとほとんど変わらなかった。
腕と足が少し細くなってしまっていたけれど、
話もちゃんとできていた。
ちゃんとというのは正確ではないかもしれないけれど、
前回とおなじくらいには話ができた。
神津さんはゴルフをしていて脳溢血?かなにかで倒れてしまった。
だから直後は話ができないんじゃないかと思っていたけれど、
時々何言ってるかわからない時はあるけれど、ちゃんと話していた。
こっちが何かの質問をした時、全く関係ないことを言ってきたり
したけれど、考えてみるとずっと以前からそういう傾向はあったな
と思った。
前回会った時に「俺はもうこの1年で死ぬ」と言っていた。
そのことを神津さんは覚えていて、
「俺はこの前1年で死ぬと言ったけど、まだ生きてるよ」
と笑っていた。
それで「いや神津さん、その前10年くらい前にレストランで
会った時は『俺はあと50日で死ぬって医者に言われた』って
言ってましたよね?」というと笑って「そうそう」
と言っていた。
「今月また来ますから」と言ってホームを後にした。
そこのホームは高級なホームで料金も高い。
神津さんは「俺、金はあるんだよ」と言っていた。
それはほんとだと思う。
ビルを売ったり家を売ったりしたから。
息子たちも金持ちだし。
気になったことがある。
ホームの会話できる場所にはいくつもテーブルが
ある。神津さんは最初その空いたテーブルに車いすで行って
ここで話そう、といったのだけれど、
横に座っていたおばあさんが「そこはもうすぐ人が来るの」
「みんな予約しているから」と言ってきた。
神津さんは露骨に嫌な顔をして「ここでいい」と言って
いたけれど、ばあさんがうるさく言うので、
「神津さん、向こう行きましょう、ロビーの方に」
と言って椅子を押してロビーに行って話をした。
後で考えて、あのばあさんはただ意地悪をしたかったのかも
しれないと思った。
神津さんは何も言わなかったけれど、その時の顔が
もううんざりだよ、という顔だった。
高級ホームでもいろいろ嫌なことがありそうだった。