そんなものは払えません。と言いに行こうと思っていた。
すると会社の前の社長から連絡があり。
「私のE社の株、あれは売ってしまって使っていいから」と言う。
この時はほんとにびっくりした。
その株は何もせずほっといた間に分株され2倍に増えていた。
その半分を売った。
それでその法人市民税は全部払ってまだ残る分があった。
あの株がなかったらどうなったことか。
残り半分は様子を見ている間に暴落して元値を割ってしまった。
そこで売った。額はとても少なかった。
それからまたぎりぎりのやりくりがあって、なんとかやっていた。
そのうち来月は完全にショートする!
という予測が起きた。
どう頑張っても、このままではどこかから借り入れしなくちゃいけない。
どうしよう?
と思っていたところ、全く新規のお客さんから大口の注文が来た。
それを完納すればなんとか切り抜けられるという額だった。
それで、それを完納してなんとかなった。
しかし、なぜそのタイミングで新規のお客さんが、しかも大口の
仕事をくれたか、全くの謎だ。
そういう事があと、2、3回あった。
いずれももうだめだという時に助けが現れた。
とてもじゃないが偶然とは思えない。
それで今月だ。
義理の娘の結婚式がある。
税金の分納分とかクレジットカードの支払いがすごい。
年金分を加えてやっと払える。
ということは今月末の支払いがアウトだ。
それをどうにかしなければ。とずっと考えていた。
臨時の注文も無い(今無いと回収できない)。
12月に入ってずっと滅入っていた。
そんな時、昨日会社の前の社長(Kさん)から電話があり、「会えないか?」
と言うので今日会ってきた。
Kさんは腎臓の検査に行ったら心臓に巨大な動脈瘤がみつかって
手術をしたという。動脈瘤は取らずにそこを避けるように血管にガイド
を入れたらしい。医者が言うにはあと半年だとか。
でもとても元気そうだった。笑いながらその話をしていた。
それで僕が「Kさん、僕は本当に最初からお世話になりっぱなしで、
そのお礼もできずに申し訳ないです」と言ったら、
Kさんはカバンから封筒を取り出して、
「これさ、いままで世話になったお礼だから」と。
明らかに厚みのある封筒を僕に手渡した。
「だめですよ、これは僕のほうからKさんに渡さなくちゃならないものですから」
とかえそうとすると、「いや、世話になった皆に渡してるんだよ」と言う。
あと2人、会って渡すつもりだとか。
それでそれを頂戴することにした。
僕はほんとに世話になりっぱなしなのに。
それがたぶん今年最後の奇跡。