8/09/2013

高度1200メートルへ その2


<転校>
伊豆の大池には1年2ヶ月通った。
しかしまだ山から飛ぶことはできなかったので、気分を変えようと思い、スクールを変えることにした。富士山麓のスクールや筑波のスクールをいくつか見学した。雰囲気で筑波のSETに決めた。
伊豆の雰囲気は現代的でスマートな感じだったが筑波ははっきり言って田舎だ。私が生まれたところなのでそれははっきり言える。

練習場の感じはだいぶ違う。SETは整地された斜面のような感じだ。
着地側の先は田んぼだ。そこまで飛ぶことは無いけれどその手前にネットがあり、
そこにひっかった人は見たことがある。 

私はこのスクールに中途で入ったような扱いをしてくれた。そのため本来ならまた1年間ここで練習しなければいけなかったのだが、確か4ヶ月で山から飛べるB級のライセンスを取れた。
伊豆と筑波の違いは筑波の方が体育の授業的なやりかただったことだ。
他のスクールではもっと本格的な体育会的なスクールもあった。ベテランと新入生の上下関係があった。そこは絶対に行きたくないと思った。

<初飛び>
SETで練習して、B級ライセンスを取るため山から初飛びを行うのだが、初飛びは足尾山(筑波)ではなく、山形県の南陽市にある十部一山だった。泊り込みの合宿のような形で初飛びツアーに行った。合宿などというのは学生の頃以来だったが、これは非常に楽しかった。
同じ時にBをとった仲間と親しくなっていたので、社会人、学生関係なく一緒に初飛びを楽しむことができた。

十部一山はそれほど高い山ではないが、秋の刈り入れが終わると山から見た見渡す限りの場所に下りることができた。
テイクオフの場所は平らになっていて、その片側がゆるい崖になっていた。ハングはその崖を駆け下りる感じだった。(ランチャーではなかったと思う)
その時の写真が無いのだが、雰囲気はしたの写真のような感じだ。(この写真は後に板敷で飛んだ時の私のハング)。十部一山はこの写真の緑の部分がほとんど畑だった。
初飛びは確か決まった順番に飛ぶのだが、それで上手く飛んでちゃんと降りられないとB級ライセンスはもらえない。 みんな結構うまく飛ぶのだが、中にはちょっとトラブル人もいた。
学生の一人は無線が切れたままで飛んでしまったようで、どういう風に降りればいいかをインストラクターから指示が得られない人がいた。
しかし彼は休憩所のテレビアンテナを壊しただけで無事降りることができた。もしもそれが私だったらと思うと、うまく降りられたかどうか疑問だ。
女性(社会人)の一人はテイクオフしてそのまま固まってしまって、遥かかなたに降りた人がいた。
普通はテイクオフしたらすぐに体を水平位置に持ってくるのだけど、彼女は直立した状態だった。

私の番になって、テイクオフに立った。その時は風がきれいに入ってきていた。
確か3歩走る前に体が浮いていた。無線もきれいに聞こえていたので結構すんなり飛んで降りることができた。その時のインストラクターは板垣さんという世界的にも有名なフライヤーだった。
その時のフライトではまず問題なくB級がとれる内容だった。

順番が回るのが予定よりも早く、2回目を飛べる人は飛ぶことになった。
私も何番目かに飛ぶことにした。
2回目は風の状態が悪く、なかなか良い風が来なかった。そのため無風状態で飛ぶことにした。
無風ではかなり走らないと飛べない。
タイミングを見て私は走り出したが、途中でつまづいた。そのまま機体を肩に崖をすべり落ちてしまった。
何人かが助けに来てくれた。
機体はアップライトが折れたけれど、大丈夫だった。
私は前歯の1本がぐらぐらになってしまった。

一応テイクオフの失敗は危険行為になるので、B級を取るのは難しかった。
2本目をやらなければ良かった、と後悔した。
しかし発表の時に、板垣さんは1本目が良かったからと、私にB級をくれた。
これは本当に嬉しかった。
バイクの失敗の時と同じようにまた何度も練習しなければいけないかと思っていたから。