知らない人は世の中のこの症状について誤解していると思う。
タナトフォビアはただ単に「死ぬことが怖い」というような
ものではない。これはパニックだ。
子供の頃に何度もなった。
何が起きているのかはわからない。
しかし頭の中で無音が鳴り響き、
見えているものすべてが怖い。
もう死がすぐそこまで来ているように思う。
これは誰にもどうにもできないことだと直感する。
とにかく恐怖しかない。
まだ小さかった頃は家まで駆け戻って
母親の膝に潜り込んでそれが過ぎ去るまで耐えた。
学校で起きた時は座り込んでいた。
友達に気づかれないように。
「大丈夫?」とか言われた時は
笑って「うん、なんでもない」って言ってごまかした。
友達が言うことに生返事をしているうちに
パニックはおさまって行った。
そのパニックが収まった後は、
とにかく「死」やそれに関することはなるべく見ない、
考えない、聞かない、と心に強く思って
一日を過ごした。
とにかく少しでもそのパニックに引っかかると
持って行かれるので、触らないようにしないといけない。
ただ単に「死ぬのが怖い」という症状ではない。