1/05/2022

銀河鉄道の機関車(つづき)

 今日はカメさんに手紙を送った。
確か1年に1回くらい書いてるように思うけれど、
2年に1回かもしれない。

銀河鉄道の機関車の続き。
何を書きたかったかというと、私が子供の頃読んだ時はあの列車は
蒸気機関車だとは思わなかったということ。
賢治さんは列車のことも機関車のことも具体的に書いていない。
書いているのは「線路があること」「ごとごと走ること」
「煙や蒸気を出していない(らしい)こと」
車内の様子も具体的には何も書いていないこと。
蒸気機関車とも電気機関車とも電車とも書いていない。

私が初めて読んだころはまだアニメもなく余計な予備知識が無かった。
それであれを読んだのだから、蒸気機関車だと思うわけもない。
賢治さんの時代の子供だったら蒸気機関車だと思うかもしれないけれど、
私の記憶には蒸気機関車だった、という記憶は無い。
ただ「石炭を炊いていない」汽車だった。

それに

  だまって正面の時計を見ていましたら、ずうっと前の方で、
  硝子の笛のようなものが鳴りました。汽車はもう、しずかにうごいていたのです。

とか書いている。
蒸気機関車はガラスの笛なんか鳴らさない。
比喩だとは思わない。
子供がガラスの笛と想像するとたぶんもっと甲高い澄んだ音を想像すると思う。
それを子供の私が読んだ時どう思ったか覚えていないけれど、
でもその「硝子の笛」というのはちょっと覚えている。

はっきりはわからないけれれど、賢治さんはきっと蒸気機関車に限定したくは
なかったんだと思う。
子供がどう想像するか楽しんでいたように思う。

どこかの誰かがアニメで蒸気機関車のイメージを植え付けなかったら、
また具体的な軽便鉄道の影絵を出さなかったら、
子供達はどういう機関車を想像できたろう?
それを考えた方がよっぽど夢がある。
銀河鉄道の具体的なイメージを作ってしまったことは罪に思える。