2/11/2022

懐かしいけど知らない場所

 ずっと前に沖縄の人と文通をしていた。
浦添だった。
その人に会いに行ったことがある。
そして車で沖縄を案内してもらった。
その時に行ったどこかの公園を見た時、「ここは来たことがある」と思った。
デジャヴュではなく記憶の中に確かにあった。
平らな公園で背の低い南の植物がぽつんぽつんと植わっていた。
向こうに池が見えた。
暫く眺めていた。
確かに来たことがあると思った。
グーグルでどこだったかを調べたけれど、どうもそれらしい場所が無い。
今となってはその場所に行ったことさえ怪しい。
でもオープンカーでほとんど北から南まで走ったのは覚えている。

ときどきそんなことがある。
街を歩いていて「あ、この家に住んでいたことがある」と感じる。
子供の頃この出窓に座って外を見ていた記憶があるように思った。
そんなわけはないのだけど、だけどその家にいた時の
家の中の明るいオレンジ色の照明を思い出す。

そういう感覚は今に始まったことじゃない。
子供の頃もよくあった。
だから街のその場所に名前を付けたりした。
「白いアメリカの家」とか。

さっきやはりグーグルでバレンシアの街を歩いてみた。
すると「この場所は知ってる」と思った。

もちろんバレンシアはおろかヨーロッパには行ったことがない。
でもこの景色は見覚えがあるように感じた。
すこし懐かしい。
あの建物を眺めていたことがある。
ずっと前に。