ずっと前に沖縄の人と文通をしていた。
浦添だった。
その人に会いに行ったことがある。
そして車で沖縄を案内してもらった。
その時に行ったどこかの公園を見た時、「ここは来たことがある」と思った。
デジャヴュではなく記憶の中に確かにあった。
平らな公園で背の低い南の植物がぽつんぽつんと植わっていた。
向こうに池が見えた。
暫く眺めていた。
確かに来たことがあると思った。
グーグルでどこだったかを調べたけれど、どうもそれらしい場所が無い。
今となってはその場所に行ったことさえ怪しい。
でもオープンカーでほとんど北から南まで走ったのは覚えている。
ときどきそんなことがある。
街を歩いていて「あ、この家に住んでいたことがある」と感じる。
子供の頃この出窓に座って外を見ていた記憶があるように思った。
そんなわけはないのだけど、だけどその家にいた時の
家の中の明るいオレンジ色の照明を思い出す。
そういう感覚は今に始まったことじゃない。
子供の頃もよくあった。
だから街のその場所に名前を付けたりした。
「白いアメリカの家」とか。
さっきやはりグーグルでバレンシアの街を歩いてみた。
すると「この場所は知ってる」と思った。
もちろんバレンシアはおろかヨーロッパには行ったことがない。
でもこの景色は見覚えがあるように感じた。
すこし懐かしい。
あの建物を眺めていたことがある。
ずっと前に。