2/23/2024

Boz

 第一声から昔と同じ、というかCDと寸分たがわぬ声だった。
非常に伸びる声で歌い始めた。
次から次へと聞き馴染んだ歌が繰り広げられた。
実に2時間15分を歌い切った。
彼は水すら飲まなかったように思う。
バックバンドの人達は水を飲むシーンがあったけれど、
Bozのは気が付かなかった。
曲ごとにギターを取り換えていた。
バンドの人達もものすごく上手い。
特に右端にいた人はキーボード(主にコード)と
サックス、ピアニカ、そのほかの管楽器などを
とっかえひっかえ全部演奏していた。

彼のWe are all aloneはアンコールの3曲(4曲?)の2番目だった。
突然ピアノが始まった。
その日、東京ドームシティーは朝から雨だった。
しかも降りやむ気配が無かった。
まるで歌のように。
彼が歌い出したその瞬間札幌のアパートが浮かんだ。
どうしようもなく涙が流れてきた。
滲んだ光の向こうでBozが歌っていた。
時間が停まっていた。
歌だけが流れていた。