僕は当時いつも小柳と一緒にいた。
村野は確か小柳と一緒の中学だ。
僕に声をかけてきたことにまず驚いた。
それから彼の名札を見て村野だとわかった。
すごくうれしかった。
小柳は大学の時に電車で一度会っただけだ。
彼の家に行ったこともあったけれど、
その後のことはまったく知らないと伝えた。
僕の名刺を渡したら「今度連絡するかもしれない」と言ってくれた。
2人だ。二人も僕のことを覚えていてくれた。
それでじゅうぶんなのかもしれない。
帰りは仙川駅から理工学部のあった千歳烏山をみて帰った。
一人で車窓を眺めながら帰った。
さみしい気持ちでいっぱいだった。
でも竹内の笑顔と村野に助けられた気分だった。
後で物故者のリストを見たら、
仲の良かった友人の名前がいくつもあった。
石川、仙波、増田、播磨
播磨はそのタンク車炎上のあと山で遭難して亡くなっている。
小柳は不明者のリストに入っていた。