9/17/2024

あれから僕は何をしていたか

 あれから僕は何をしていたかを書こう

たいてい一人で車でどこかへ行っていた
どこか行くあてがあるわけじゃなく
走っていた
夜中も走った
一人で走っているのが良かった
大きな音で音楽をかけて
湖や海の近くに車を停めて寝た
朝日が昇る前に車を走らせた。
地平線のギリギリに太陽が昇り
でもそれはあっという間に高く昇って行った

あの後はずっと頭が混乱していて
何も考えていなかった
あの土地に僕が住んでいたのは
何か希望があったわけじゃない
自分はだめだと思っていた
こんなのと一緒にいたらだめになる
そう思っていた。

それから夏になって
僕のところにやってきた誰かを空港まで送って行って、
ずっと飛行機が飛ぶのを車の中から見ていたことがある
あの人は何で来たんだろう?
僕は湖や山に案内して
ドライブしながら話をした
そしてそれが当たり前のように
空港から帰って行った
「また来てよ」
そう言ってから1年くらいしてまた来てくれた
そしてまた同じように帰って行った
そんなことが何度かあった
いや、何度も、

それからも僕はあの北の国で暮らしていた
ある年に我慢できなくなって
あそこを脱出しようと思うまではね、
あそこを抜け出して
そしてまた東京の暮らしが始まった

それから何十年もしてから
まるで僕が、
僕だけが悪かったような言い方をされた
なぜなのか?
ちょっと待って!
あのあと君の住んでいるところには何度も行ったよね
「いいよ」というので一緒に行ったよね?
僕らは話をしていただけだったけど
僕はそれでよかったんだけどね
でも、あの一緒にドライブした想い出を
消し去ってしまった言葉は、とても悲しい

それがあの後の僕に起きたことの一つ