10/24/2013

三鷹の記憶 (7)初恋

小学校6年の時一時的に離れていた三鷹に戻ってきた。
戻ってきたのは以前住んでいた下連雀ではなく上連雀だった。
だから小学校6年の新学期の転校生だった。
先生は女性の若い先生で(たぶん若かった、めがねをかけて当時は年配に見えたけれど、)
明るい活発な先生だった。
私のクラスは40人くらいだったろうか、私以外はみな下の学年から来た子たちだった。
私はクラスでも背が高く、転校生ということもあってみんなが良くしてくれた。

最初に親友になった男は頭が良く小学生だったけれどギターが弾けた。スポーツも得意
で彼はクラスの一番の人気者だった。
学校の帰りも彼と二人で寄り道をしたりして、とても仲が良かった。

いつだったかクラスの体育の時間にドッジボールをしたことがあった。
当時は女子も男子も一緒の授業だった。
2つのチームに分かれてドッジボールをした。
前から気にはなっていたのだけど、相手チームに一人の女の子がいた。みんなよりちょっと
背が高く、やはりクラスの優等生だった。
その彼女のところにボールが行って、彼女はそれを私に投げ返してきた。
私はそれを受けてまた彼女に投げ返した。彼女は他の子に返せばいいのに、また私に
投げ返してきた。その時彼女の顔が赤くなっているのがわかった。
私はもう一度彼女に投げ返した。彼女はそれを受け損ねてしまって笑いながら外に出た。
私は何か悪いことをしたような気がした。けれど他の子達は私は、思いもよらなかったけれど、
私とその女の子をはやしたてはじめた。
私はちょっと恥ずかしかったけれど、その時何かおかしな感情が生まれたのを覚えている。

その時から、授業中に彼女と目が合うとお互いに笑い返したりしていた。
しかし、私の親友だった男の子と話をしているときに彼も彼女のことが好きだったことを知った。
私が来る前の学年からそうだったらしい。それで彼女も彼のことを好きだったらしい。
その話をしてからもずっと彼とは親友だった。二人とも彼女のことが好きだった。
それは確か3学期まではそんなことが続いたと思う。

その後、私は以前からちょっと精神的におかしくなることがあって、全ての人を自分から
排除しようとし始めていた。その感情は今はもうわからないが、友達すべてが気に入らなかった。
友達だけでなく親以外の誰も気に入らなくなった。
そのまま友達とも気まずいまま小学校を卒業してしまった。

時々夢であの初恋の時の感情が現れることがある。
夢から覚めてもその日はその感じを思い出す。
あれは不安と紙一重の感情のように感じる。