11/11/2013

レコードからCDに

1979年頃だったと思うが、私はまだオーディオ業界で働いていた。
私がいた会社はレコードに関係した製品を作っていた。
その年のオーディオフェア、確か晴海だったと思うけれど、流通センターだったかもしれない、
に札幌から説明員として行っていた。
実際に説明していたのはベテランの営業の人や技術の人だった。だから私はそれほど
緊張も焦ることも無くその場にいたと思う。

休憩時間には自由に歩き回ることができたので、他のブースを見て回った。
全てのオーディオ機器の表示装置が変わっているのに気がついた。
その年より以前からそうだったと思うけれど、その時はそれがすごく気になった。
オープンリールテープデッキもまだ出展されていたが、表示はアナログメータでは
なく、デジタル表示だった。カセットデッキもそうだった。
さらにアンプやチューナーのボリューム調整などもアナログの可変抵抗器ではなく、
カチカチとクリック感のあるつまみだった。
つまり全てがデジタル化の方向になっていた。

一番人だかりのあったブースは(私の記憶では)SONYのブースだった。
そこの壁にはキラキラと虹色に輝くCDが飾られていた。
またその一角では実際にCDの音を出して聞かせていた。

私はその壁に飾られていたキラキラ光るものを欲しいと思った。
音はどうでもよかった。ただそのキラキラ光る板が欲しかった。

私はもう一人の社員の人と一緒に話しながら歩いていた。そのCDを見ながら
その人が「まだまだCD化されるレコードは少ないから、売れないね」と言っていた
のを覚えている。
でもそれから全てがCDになるのはあっと言う間だった。

でも音はどうだったろう。
そんなに安物ではないCDデッキで聞いていたけれど、「すごくいい音」という
感じはしなかった。初期のCD録音、CDデッキはビット数も少なく、サンプリング
それほど高いものではなかったと思う。でもたぶん20KHzはクリアーしていた
と思う。CDの音をいい音だとは思わなかった。

有名メーカーのCDデッキで、明らかにデジタル音のするものがあった。
サンプリング数が明らかに少ない感じだった。

そういえば、いつから「1ビット」AD/DAになったのだろう?
あの録音再生方式はマイコン初期のTK80でやっていたデルタ・シグマ変換だ。