12/03/2013

おせっかい 秋葉原で

ピンク・フロイドのアルバムの話ではなく・・・

先日、公園を歩いていたら一匹の蝶が蜘蛛の巣にひっかかって、ばたばたしていた。
それを見て、かわいそうだと思い蜘蛛の巣から放してあげた。
蝶はどこかに飛んで行った。
「ああ、いいことをした」と思って歩いていたのだが、いや、まてよ、いいことだったのか?
と思った。じゃあ蜘蛛はどうした?
蜘蛛だって何週間も食べ物が無かったのかもしれないじゃないか。
それに思い至り、戻ってさっきの蝶々を捕まえてもう一度巣にかけようかとも思った。

私はおせっかいかもしれない、と昔から思っている。
いままでやったおせっかいで一番面白かったのを書こう。

今から30年くらい前、私は御茶ノ水のレモンで買い物をして一駅だけれど秋葉まで
電車に乗ろうと思い、ホームにいた。
そこに南米風の家族5人連れがいた。
そのうちの一番小さな女の子がはしゃいでいた。
電車が来て私が乗り込むとその女の子も乗ってきた。
しかし他の家族はホームで、たぶんこの電車でいいのかを考えていたようだ。
他の家族が乗る前にドアーが閉まってしまい、女の子一人が電車に乗ってしまった。
その子のお母さんがドアの向こうで何か言っているが聞こえない。
手で何か言っていたようだが女の子はどうしていいかわからず泣きそうだった。

電車はお茶の水駅を出てしまった。
女の子の隣にいた初老のおばさんが女の子の手をとって大丈夫だからと言って、
なぐさめていた。でも言葉は通じていなかった。
私は次の秋葉原で降りたが、女の子とおばあさんも一緒に降りてきた。
おばあさんは駅員さんを探していた。
駅員は近くにいないようだった。
おばあさんと女の子はうろうろして、ホームの端の方に行こうとしていた。

私はさっさと下のホームに行き改札に向かっていたが、
「絶対に会えない」という考えが浮かび、さっきのホームまで走って戻った。
ちょうど次のお茶の水からの電車が到着したところだった。
私はさっきの家族が降りてくるだろうと探していたが、ベルが鳴っても降りてこない。

さっき女の子が乗った車両まで走って行くと、そこに家族が乗っていた。
彼らはそこでは降りないつもりだったらしい。たぶんさっきドア越しに言っていたのは
降りる駅名だったのだろう。
私はドアを押さえて、「女の子はここにいるから」と言って彼らを降ろした。
ホームを見渡して女の子を捜したがすぐに見つからなかった。
おばあさんと女の子は秋葉原デパートに降りる出口のところにいた。
「ここにいるよ」と家族を呼ぶと、心配そうな顔をしていたお母さんが来て女の子を
抱きしめていた。

私はそれを確認して、すぐに改札に向かった。
「私がいなかったら、絶対会えなかったよな・・」と
おせっかいなやつが満足そうだった。