という映画をさっきアマゾンで観た。
全然期待もしていなかったし見る気もなかったのだけど、
勝手に始まるものでつい見てしまった。
「みてしまった」というのは正しい。
これはとてもいい映画だった。
うっかりしていたら泣いていたかもしれない。
90歳くらいの男の話なのだけど、
「現実主義は物だ」という話あたりから物語は始まる。というか彼は現実主義なのだ。
その彼が少し変わる、という話なのだけれど、
途中で出てくる話が私が子供の頃に経験したのと同じで驚いた。
私はそのことを人にはあまり言っていないのだけど、
私が11歳くらいの頃から死の恐怖パニックに時々襲われた。
それと同じことを彼は言っていた。
「思い出していたんだ。
俺が12か13だったころのことを。
理由は忘れたがビューラ叔母さんの家にいた。突然不安に襲われパニックになり
死ぬほど怖かった
急に暗闇以外 何もないと思えてね。。。」
このパニックのことを他人から聞いたことが無かったからほんとに驚いた。
これだけでもこの映画を観る価値があった。
この映画は中で使われている音楽と歌がまた素晴らしかった。
この主演のおじさんも自分で歌を歌っている。
YouTubeにその歌があった。
映画は最後でバーの知人たちと口論になる。
彼は
「みんななくなる。
無になるんだ。」
と言う。
そこで最初とちょっと違うのは
「無」にたいしてどうしたらいいか?
と言うと、
彼は「微笑むんだ」と言う。
これはなんて素晴らしい言葉だろうと思う。
大体の日本人の唯物論者は「死んだら無になる」
「何にもなくなるだけだ」
というけれど、
彼はそれに対して無に微笑むと言う。
この発想は無かった。
映画の最後のシーンで彼は砂漠のサボテンを見て歩くが、
サボテンを見上げた顔で、
全くのカメラ目線で微笑む。
これには不覚にも微笑んでしまった。