1/20/2020

あの時代へ

もしもあの時代--1975年---が今もう一度訪れたら
僕は何をしよう?
あの時代?
そう、あの頃あの時、

渋谷のマックスロードに行ってあの大きなテーブルに座って
たっぷりのコーヒーを注文して、
窓の外を眺めていると、
コマツやモチが君と一緒にやってきて、
大きな砂時計のあるテーブルに並んで座って
「よう!どうしてる?」とか言いながら
コマツは新しいセーラムのタバコの口を切って
1本を僕にくれる。
火をつけるとあの香とちょっとハッカの冷たい空気が肺に入って来る
コマツはレコードを抱えていて、それをテーブルに広げて
僕に見せる。
「今度この曲をやろう」と言ってThe Bandのジャケットを裏返して
曲を指さす。
僕は「へえー、いいね」と言う。
「これ歌詞カードは無いね」と言うと
コマツは「あ、それはもうとってあるから」と、少し自慢げに言う。
モチはそれを聞いて「はは」と笑う。
君はほかのジャケットを手にとって眺めている。
君とオリーブとジュンが入り口から入ってきてテーブルに加わる。
それから大きなリュックを背負った君もやってきて、
もうすっかりにぎやかになってしまう。
店の小さなスピーカーからコルトレーンのサックスが流れている。

お店のカウンターの向こうにいたタヌが
「あんたたちそこでなにしてるのよ~!」と
大きな声で叫んでいる。
「私もそこに行く~」とテーブルに加わる。

これからどっか行こうか?
と僕が言う。
コマツが「いい~ですねえ~、行きましょう」と言うと
皆立ち上がって外に出る。
外の歩道に停めてあったVWのマイクロバスに皆乗り込む
「とりあえず湘南行こう!」と僕が言う。
運転も僕だから文句は言わせない。

湘南の海が見えて来るまで車の中で
僕らは知っている歌をとめどなく歌い続ける
モチとコマツがその辺にあった腐ったギターを鳴らしている
ヨシノがハーモニカでせつないハーモニーを付けている

茅ケ崎の海に着いたら車を浜辺に乗り入れて、
皆で海をバックに記念写真を撮る
みんな馬鹿な格好をして写真に収まる
「この写真、いつ見るんだよ」と誰かが言う

いつか、いつか
こんなことがあったんだって
思う時が来るかもしれない