1/17/2020

我アルカディアにもあり (の続き)


それでこれがmemento moriだというはっきりした理由がわからない。 わからないけれど、この言葉はプッサンの2つの絵画に出てくるらしい。 両方ともプッサンだ。 前にも書いたけれどこの言葉がmemento moriだと言ってるのは誰か知らない 解釈者なのだ。プッサン本人が言ってるわけじゃない。 プッサン本人が書いてるのは絵画の中で「我アルカディアにもあり」と書いているだけだ。 もう一つ考えたのだけど、どこかに実際にこの石碑があるのだろうか? ということだけど、検索しても出てこない。 たぶん、これは架空の石碑なのだろう。 検索で出てくるこの石碑はプッサンにインスパイアーされて作られたものらしい。
Wikiを見たらそれらしい原因がわかってきた。 これと同じタイトルの絵(墓碑にこの文字が書かれている絵画)はプッサンの 他にもあって Et in Arcadia ego (also known as The Arcadian Shepherds) is a painting by the Italian Baroque artist Giovanni Francesco Barbieri (Guercino), from c. 1618–1622. It is now on display in the Galleria 
同じタイトルでこの絵を描いてる。 この髑髏の下に確かに同じ文字が書かれている。
墓碑にそこに眠る人物の思いを書いたのはもっと古く古代ローマのVirgilius の詩の中に出てくるらしい。全文英語訳が読めるけど面倒なので読んでいない。 それでこのBarbieriの絵画にも髑髏の下にこの文字が書かれているだけで 「死はアルカディアにもある」とは言っていない。 しかし、この絵画(Barbieri)を観た人はこの髑髏から類推してしまうのは 簡単なように思える。
 たぶん後世の評論家がそのイメージを作ったように思う。
じゃあプッサンはどういう思いだったのか? ということがプッサンの自伝の中に書かれているらしい。 それによると 「ここに眠る者はアルカディアに於いても生きる」という意味だと はっきり書かれているようだ。 つまり自分を含めた死者はアルカディアでも生きることができる。 という意味だと思う。 「死はアルカディア・・」云々よりもずっと自然だし 描いた本人が言っているのだから確かだ。 ・・・と思う

これの本来の意味は、「私は天国でも生きている」ということだろう。
それが石碑あるいは墓碑として書かれているのは納得がゆくから。