8/05/2019

迷子

ちょっと遠くのスーパーに買い物に行った。
キャットフードが安いのでわざわざ遠くまで行くわけだけど。
キャットフードは2階の広いフロアーの端にある。
そこでキャットフードをカゴに入れて、ほぼ反対側のレジまで歩いて行くと
どこかの通路から「マーマ~」という泣き声が聞こえた。
すぐに見つかるだろうと思って、他の商品を見ていたら
まだ探しているようだった。
どこだろう?と思って商品の通路を探したら居た。
小さな女の子がきょろきょろしながら母親をさがしていた。
近づいて「どうしたの?ママいないの?」と言うと
緊張しているのか警戒しているのか、そのまま別の通路に行ってしまった。

母親も探しているだろうと思い、また商品棚を散策していた。
そしたらまだ探しているようで、通路の端の方にいた。
脅かさないように遠くから「探してあげるからおいで」
と声をかけたら近づいてきたので、「よし、お店の人に聞こう」
と言って手を差し伸べると手を出してきたので
その手をとって、レジの方に向かった。

「子供の手ってこんなに小さかったんだ」と驚いた。
自分の子供もこのくらいだったんだと思った。
手をつないでいたけれど、必死で涙を堪えていた。
レジの手前まできたら女の子がほんとに小さな声で
「ママいた」と言った。
レジの向こうに母親がいた。
女の子は走って行った。
母親は遠くから私にお礼を言っていた。

あぶなかった。
あとちょっとで女の子に涙を見られるところだった。
私は後ろを向いて商品棚の方に向かって、
気付かれないように涙を拭いた。

しばらく女の子の手の感覚が残っていた。