6/12/2019

並川君のこと

並川君は札幌で知り合った友達だ。
最初はどうやって知り合った?
ちょっと待て、確かな記憶が無い。
たぶん古谷がやっていた札幌フォークの集まりでだと思う。
並川君とトッピ(女性)とヒゲちゃん(女性)と私で一緒に何かやろう
ということになったんだと思う。
ヒゲちゃんはその後全くどうしたか知らないけれど、確か故郷は福島
だったと思う。その話をしたことを覚えているから。
ヒゲちゃんは穏やかな感じのいい女性だった。

並川は札幌大学に行っていた。
卒業してからどこへ就職したのか知らないけれど、仕事は何をしてるか
話をした時は日雇いのような仕事していると言っていた。
丘珠とかどこかの道路工事をしていたときいたことがある。

並川はギターを弾いていた。
歌は当時私よりもうまかったと思う。
何度か4人で練習をしたと思う。
最期のコンサートを江別の市民会館でやった。
その時にやった「さよなら」(NSP)は思い出深い曲だ。
どこで聴いても吹雪の中の市民会館のコンサートが浮かぶ。
あれはまるで、ドラマのワンシーンのようだった。
外は猛烈な吹雪。
吹雪の中で明るいステージで歌った。

その後、ある日並川が私のアパートに来て、
「トッピに告白したよ」と言った。
とても嬉しそうだった。
あの並川を忘れない。

私が東京に戻ってから並川は台所用品を売っている大会社の営業をやっていた。
横浜の家にも一度来てくれた。
それから並川はトッピと一緒に四国の徳島に移った。
その時は私も仕事の帰りに彼の家に寄った。
そのあと並川は九州に移って、最後は佐世保だったように思う。
電話とかメールとかやりとりしていた。

それがある日、連絡がとれなくなった。
メールも電話も通じない。
それからもうずいぶん年月が経ってしまった。
さいごに聞いたはパーキンソン病だとか言っていた。
最期にやり取りした電話の話声はたどたどしかった。

今、並川の声が聞きたい。