さっき「白い蒸気機関車」のことを書いてから、
Amazonから「風の又三郎」を推薦された。
そんなに人の検索を覗き込んでいるのだろうか?
やってるかもしれないな、と思う。
それはともかく観ろというので見た。
これを全編見るのは3度目くらいだけれど、
すっかり内容を忘れていたことに気が付いた。
だいたい1時間半もある。
途中かなり冗長なシーンがあることがわかった。
あるいはああいうシーンは必要だったのかもしれないが。
映像も今となってはあまり綺麗ではない。
綺麗ではないのだけどその分昔の雰囲気が出ている。
又三郎は5年生だったのを知った。
私が初めて転校したのも5年生だった。
転校生は特別な目で見られた。
また転校した自分も新しい学校はとても不安だ。
だいたいまだ何も世間のことを知らず
幽霊も信じていたような頃だから、
何が起きるかわからない。
風の又三郎という話は又三郎以外の子どもたちの
話であり、又三郎自身の心情はあまり語られていないように思う。
いや、又三郎自身の気持ちを表現した記述は無いように思う。
タバコの葉のシーンだって、本来の賢治の書き方なら
「三郎はにわかに心配になりました
しかしそれを皆に悟られまいと
怒ったように『知らないで取ったんだい』
と言いました。
みたいに書いていたように思う。
しかし三郎は発言は書かれているけれど、
その時の心情は全く書かれていない。
それは三郎が得体の知れない転校生であることを
読者にわからせるためなのだろう。
「風の又三郎」という話の主人公は三郎ではなく
嘉助を主人公とした話なのだと思う。
話を読んだあとで心に残るのは嘉助の
又三郎にもう一度会いたいという気持ちだ。