1/28/2014

SLの記憶

私の故郷は茨城だ。
私は母方の家で生まれた。母は時々帰郷したようで何度か一緒に帰った記憶がある。
一番古い記憶はたぶん小学校に上がっていない頃だと思う。
当時は常磐線はまだSLが走っていた。
上野駅から乗って内原で降りた。内原からはバスだった(確か)。

その一番古い記憶だが、なぜ一番古い記憶だとわかるかというと、私が明らかに
小さかったことがわかる記憶だからだ。
私は向かって右側のボックス席に前向きに座っていた。
通路を白い衣装を着た傷痍軍人が歩いてきた。
私は眠くなっていつの間にか眠ってしまったが、
その時、向かいに座っていた知らないおじさんが
「おーおう、眠くなったねぁ、ポッポチャンがお目目にとまったねえ~」
と言ったのをはっきり覚えている。
たぶん、小学生(私は大きかった)だったら”ポッポちゃん”とは言わないだろうと思うから。
それがたぶん一番古い記憶だ。

そのあと何度かSLでいなかに帰ったと思う。
他の記憶としては、
・窓を開けていたら、トンネルに入るからと母親に注意されたのを覚えている。
・お弁当とお茶を母が買って、食べたのを覚えている。窓枠のところにお茶の入った
 瀬戸物の小さな急須を並べて置いていたのを覚えている。
・汽笛の音。それと煙の匂い。あの匂いは独特だ。
 その頃家の風呂は石炭でたいていたが、その匂いとも違うような気がする。

はっきりSLに乗ったという記憶はそれだけかもしれない。
あとはディーゼルになって、それから電気機関車になった。