1/14/2014

「モア」 MORE and Pink Floyd and Mimsy Farmer



この映画は75、76年頃に札幌で見たような気がする。
なぜなら一人で観た記憶と、ビルの中の小さなスクリーンで夜に数人の観客で観た記憶があるから。場所は全く覚えていない。
MOREのテーマで映画が始まり始まりのロールでmusic by Pink Floydの文字がピンク色で
表示された。その時ちょっと嬉しかったのを覚えている。
初めてその映画を観た時は劇中でPink Floydが流れているなー、くらいしか音楽については
印象が無い。しかしあの女性の印象だけは強烈に残っている。

 
あの時代(1969-1975)にはあの時代独特の女性がいたように思う。
この映画が公開された頃私は学生だった。学校に入ってすぐの頃。
まだ学園闘争の残り火があちこちにあった頃だ。
学校に入ってすぐに音楽のクラブに入り、そこの人達とも親しくなった。
その中に一人、ちょっと変わった女の子がいた。浅川マキとビリーホリデイとドアーズが好きで、
フォークソングという感じではなかった。
じきにその子と一緒に歩くことが多くなり、映画を一緒に観たり、コンサートに一緒に行ったり、
その子のアパートでレコードを聴いたりした。
ある日、その子が新宿のロック喫茶を教えてくれた。


別なところに書いているかもしれないけれど、そのロック喫茶はソウルイート[Soul Eat]と言った。
強烈に大きな音で曲をかけるので有名だった。
Pink Floydを初めて聴いたのはそこが初めてだと思う。
その子が連れて行ってくれた丁度その頃Atom Heart Motherが発売され、その店でよくかかっていた。(いや、Ummagummaだったかもしれないが・・・)
その子と一緒にその店に行ったのは何回だったろう?










その子は本当は好きな人が他にいて、そのうちその彼といつも一緒にいるようになった。
私はちょっと淋しい感じがして、そのソウルイートに一人で何度か行った。
ひょっとして彼女居ないだろうか、と思って行ったがその後会うことは無かった。
音の洪水の中で自分が一人だと感じた。
映画「モア」を観たのはそれから5年くらいしてからだ。
学校も卒業して一人で札幌に住み始めた頃だった。
モアを観てからその子と映画の中のエステル(Mimsy Farmer)とが重なるようになった。
DVDを買って何度も観ているけれど、もうFink Floydの音楽は添え物としか思えない。
この映画はMimsy Farmerのための映画の様に思う。

 






映画ではこのシーンを最後に彼女はもう出てこない。
主人公(?)の男は彼女を捜すが会えないまま死んでしまう。
こんな後味の悪い映画もない。
あの死んでしまった主人公を自分だと感じるのは私だけだろうか。
 
エステルに会いたくてもう一度(more)DVDをかけてしまう。