9/07/2013

マツダ プロシード・マービー

これまで沢山の車に乗ってきたけれど、今は車を持っていない。全く車を必要としていないから。

最後に乗った車はマツダのプロシード・マービーという車だった。
この車は長さが5メートル以上あり、ハングを屋根に積んでも安定しているし、道路交通法にも違反しない。また車内はバックシートを倒すと平らな床の長さが2メートルくらいになり、ベッドのマットレスを平積みできる。従って後ろは完全な寝室になった。
仕事で出張に行った時などそこで一泊したり仮眠したりできた。
この車はとにかくものすごい距離走った。
東北から広島、和歌山まで何度も仕事で出かけたから確か最後は20万キロ以上走っていた。
その車に最後に乗った時にちょっと不思議な体験をしたのでそのことを書こう。

最後に乗ったのは静岡の車部品工場に行った時だ。
出かける時にエンジンをかけたらちょっと異音がした。ほんの瞬間だったのであまり気にせずに出かけた。工場まで何も問題なく、約束時間に間に合って着くことができた。
(今考えると、この時間に合ったというのも不思議だ。)

仕事は夜遅くまでかかってしまい、帰りは夜中の1時過ぎてしまった。
駐車場に戻って車のエンジンをかけようとしたが、なかなかかからなかった。
かからなかったというよりガリガリとひどい音がして回ろうとしなかった。
エンジンルームを開けて見たりしたが別におかしなところは無かった。

30分くらいやっていただろうか、最後に、これでかからなかったら工場に泊めてもらおうと思って、
セルを回した。
かかった。変な音も無く調子良く動き始めた。
エンジンを止めるのが心配だったので、工場の門で受付する時もエンジンを止めなかった。
東名に乗ってしばらくは何もなく順調だった。
もうすぐ横浜というあたりで「ゴー」という何かを引きずるような音がし始めた。
心配になって東名を降りてから車の下を覗いてみた。
でも別に何も異常はなかった。

一般道を走り、あと数キロで家に着くというあたりから異音が異常に大きくなってきた。
ガリガリと車の下に岩でも引きずっているような音だった。
もう一度車を停めて、下を見たけれど、別に何も引きずっていなかった。
その時、エンジンが止まってしまった。

もうだめかな、と思い、セルを回したらエンジンがかかった。
そのままゆっくり家までなんとか行き着いた。
家の前についたとたん、エンジンが止まった。
駐車場に入れようと、エンジンをかけたがもう回らなかった。

次の日の朝、修理工場の人に来てもらったが、エンジンは2度と回らなかった。
修理の人はミッションが完全に壊れてしまっていると言っていた。

マービーは最後の仕事に付き合ってくれて、私を家まで送り届けてから行ってしまった。
レッカー車で引かれてゆく前に「ありがとう」と言うと、涙が出そうだった。

それ以来、自分の車は持っていない。


 

追記:
この車を悪くいう人は多いけれど、これほど乗ってよかったと思う車もない。
小回りが利かないという人もいるけれど、駐車場で困ったことは無い。
バスの運転を見ればわかるように、要は運転の腕だ。
後尾のサイドライトを壁(やポール)にぎりぎりに持って行けば、たいていの
ところは入る。
それにこの車は眺めが良かった。運転席が高い。だからか助手席の人も
決して酔うことがなかった。
長いホイルベースのため非常に安定している。長距離はすごく楽だった。
あのデカさのため乗るとすごく安心感があった。
できたら、もう一度会いたい。