このドラマは私が札幌から東京に戻って2年目の1984年3月から始まった。
悲別(かなしべつ)は架空の地名だけれど、映像からすると上砂あたりだろうとわかった。
砂川、滝川、深川、旭川はいずれもとても懐かしい地名だ。
深川は札幌の友人の育った土地だ。
一緒に小学校を見に行ったことがあった。
小学校は平屋で昔ながらの作りのかわいらしい学校だった。
それほど広くない校庭はたぶん桜の並木で囲まれていた。
写真を撮ったはずだが、みつからない。
友人は滝川でも暮らしたそうだ。
その頃の家を見に行った。
長屋のような作りで駅のすぐ脇にあった。
まるで幸せの黄色いハンカチに出てきたような住まいだった。
思い出してみると、何故かとても懐かしい。
まるで自分が育ったところのような気がする。
グラフティーのストーリーは私とは全く違っていたので、共感する部分は少なかった。
当時、あと5歳若ければもっと感じる部分があったかっもしれない。
「駅・ステーション」には共感できる部分が多かったけれど、悲別にはそれが無かった。
ただあのグラフティーの中の東京の暮らしは、ちょっと前の私の東京(実際は千葉)一人暮らし
に重なる部分はあった。
札幌の冬は大きなポット式のストーブだったけれど、東京ではこれだ。
これで十分だとわかった時、あらためて札幌の寒さを思い出した。
このシーンに至る前のシーンは車で駅まで駆けつけるシーンだ。
その途中の景色は当時の北海道だ。
道は未舗装が多く、雪が無いと砂煙を上げて車は走る。
駅前は全て駐車は無料だった。
車を駅舎の横に駐車してしばらくそのままでも全然問題なかった。
この石田えりの髪型は当時みんなこれだった。
私自身の髪もこれに近かった。
このドラマの石田えりはとても良かった。
もう一人、ビデオを見て思い出したけれど、この「大人物」はドラマでは何歳くらいの
設定だったのだろう?
たぶん、今の私より若いのではないだろうか。
大滝秀治さんは計算してみたらこの時59歳だ。
なるほどね。
ドラマの終わりには毎回「22才の別れ」が流れた。
この曲はなぜかこのドラマにぴったりだったような気がする。
歌の内容はドラマとは関係ないけれど、なんとなくだ。
ドラマの最終回だけ、終わりのシーンが違っていた。
いつもは雪のシーンをバックに「22歳の別れ」が流れたが、この最終回だけは
少女とそれを追う男子生徒のシーンだった。
そこに一匹猫が映っているのだが、この猫は偶然入ったというようなことを聞いたように思う。
とても演技派の猫だった。
この少女は石田えりだろうか?
ということをずっと考えていたりする。
いずれにしてもこのシーンはとてもいいシーンだ。