8/03/2015

ハスカップ酒

「ハマナスはバラ科なんだよ・・・」
初めて北海道に行った時、小沼が言っていた。
あれは8月だった。
暑い東京を後にまだ高速道路ができていない国道4号をひたすら走った。

「ハマナスはバラ科なんだよ、だからとげがある」
サロマ湖の環状になった先端の砂の道に車を停めてハマナスの花を見ていた。
「別に特別きれいな花じゃない」
その頃あの歌が流行っていた。


「ハスカップのお酒があるんですよ・・・」
友人が言った。
あれは確か釧路だった。
小沼じゃない。

そのハスカップという言葉の響きが良かった。
なぜだろう?
すごく北海道っぽい語感がした。
見たこともないのに。

ハスカップがどんな植物か知らない。
だから頭の中ではハマナスのような印象を持っていた。

「ハスカップのお酒を送ったよ」
友人が言った。
あれは深川のアパートだった。
四角い青い瓶の小ぶりのお酒だった。

私はお酒を飲まない。
すっぱかった。