どっちの方向にしろ冬の夜中の野辺地フェリー埠頭はだいたい吹雪いていた。
東京から走ると青森よりも野辺地の方が少し近い。
売店の側に車を停めて、車検証を持ってキップを買いに行く。
欠航の可能性があるようなことを書いた白板が立っている。
いつものことだから気にせず車に戻って、車を乗船場の近くに移動する。
だいたいこの辺だろうか、というあたりに車を停めて横になる。
外はガンガン吹雪いている。
真夜中だ。
*もう野辺地フェリーは無いらしい。何時無くなったのか知らない。
記憶では真夜中に乗って朝に函館に着くということが多かったように思う。
そうするとフェリーは夜中の1時くらいに野辺地を出たことになる。
記憶が定かでないのでわからないけれど、そういう時間だったと思う。
船が出るまであと1時間以上待つことは普通だったように思う。
欠航になってショップの方でコーヒーを飲みながら時間を過ごしたこともあった。
それは函館の方だったかもしれない。
窓の外は吹雪。オレンジ色の照明だけが見える。
時々乗用車が列に並びにくるくらいで、少し遠くをトラックがやはり乗るために
やってくるのが見える。多くのトラックはもうずいぶん前からそこにいるように
思える。エンジンをかけたままひっそりしている。
船が無事出る時は出航少し前に誘導の係りの人が来て、こっちに並ぶようにと
指示をくれる。
乗船するほとんどは大型トラックだから乗用車は早めに降りられるように開閉ドア
の側から詰め込まれる。
車に乗ったままは禁止なので上の客室の方に移動する。
中にいて寝てもいのだけど、デッキで外を見ていることが多かった。
しばらくは遠くの方に街の灯りが見える。
それを見ていると酔うことは無い。
青森が見えなくなると仕方がないので客室に戻って横になる。
波が強いと転がりそうになるけれど、揺られているうちに眠ってしまう。
約4時間もすると港が近づき、ざわざわしてくるので目が覚める。
外はもう明るい。
この写真は野辺地側かもしれない。
着岸する前に車に乗り込んでエンジンをかけて、指示を待つ。
その時の感じが懐かしい。
着岸して大きな跳ね上がり式のドアーが降りる。
外のまぶしい光が入ってくる。
着岸すると係りの人が車の輪留めを次々と外して行く。
ゴトンゴトンと音がする。
先頭にいる係りの人が1台ずつ出るように指示する。
それに従ってフェリーを降りる。
地面の安定した感じがうれしい。
埠頭のショップで何か食べただろうか?
どうも思い出せない。
なんとなく朝は食べなかったような気がする。
しばらく走って、ドライブインで何か食べたと思う。
朝の、半分眠い、顔の前がもやもやした状態での運転の感じがなつかしい。
ああいうのはもう無いだろうな。
仕事で徹夜で運転した頃はまだあの感じがした。
特に運転しながら朝日が昇るときの、あの感じ。
あの感じは特別だ。