学校の卒業研究の時は神埼先生にカラス細工を教え込まれた。
細い管を細工するのはだいぶ上手くなっていたと思う。
でも大きな器具は先生まかせだった。
私はよくガラス製の溶融塩炉を壊した。
壊したと言っても、まだガラスが熱いうちに真空ポンプで引いてしまって、つぶして
しまったことが何度かあった。
同じ失敗を何度もするのが私のようだ。
その大きなガラス容器を先生は新しい大きなガラスガラス管をつないで補修した。
補修した後は弱い炎をあてて何時間もかけてゆっくりと冷やした。
ガラス加工には熱処理(アニーリング)が必要だ。
600度以上のガラスをゆっくりと時間をかけて冷ましてやると丈夫な修復ができる。
量子コンピュータはどうやって「計算」するのだろう?と思っていた。
ちょっと読んでみた。
どうやら「計算」をするのではなく、「自然のなりゆき」のようだ。
ガラスや鉄を真っ赤にしてからゆっくり冷ますと安定なものにおちつく。
それに相当することをやらしているようだ。
今のところ「最適化問題」に限定した「計算」しかできないようだ。
つまり熱くしておいてアニーリングすれば安定なところ(最適なところ)に落ち着く。
それと同じ原理を利用しているようだ。
たぶん、私を含め、大多数の人はそのハードウェアがどのように動いているのか
理解すらできない。デジタルコンピュータの黎明期もそんなもんだった。
CPUとその回りのICが何をしているのか知ってる人はわずかだった。
量子コンピュータはその動きだけ見てみるとアナログコンピュータににている。
サイン波に乗数を掛けると勝手に波は大きくなる。
量子コンピュータもあの中では計算やシミュレーションが行われているのではなく
自然現象というか自然の成り行きで結果が出てくる。
そんなもののようだ。
量子コンピュータでグラフィック処理ができるようになる頃まで
生きていられるだろうか。
もし今のコンピュータのように使えるようになったら、
本当にコンピュータの中に一つの世界が作れるかもしれない。