前の社長がやっていた会社を引き継いでやっていた会社も
数年前に解散したのでずっと個人会社でやっていたのだけれど、
面倒になったので顧客にはがきを出して、全ての営業を辞める
ことを伝えた。
一人だけ電話があった、もう30年近く付き合いのあった
音楽学校の先生だ。
私もそんなに長い付き合いだとは思わなかった。
言われてわかった。
いろいろ仕事をしてきたけど、FA向けの検査装置の製造は
様々な迷惑をかけたので、ずっと前に辞めていた。
その後はビデオ関係の仕事だけだった。
印象に残っているのは東京ガールズコレクションの第1回と
第2回のDVDのコピーをやったことがある。
まだどこかに残っているはずだ。そのイベントは今は
大きなイベントになっている。
著名な歌舞伎役者の家族ビデオテープを大量にダビングした。
また有名なバイオリニストの家族ビデオも大量にあった。
あんなのは外に漏れたら大変だろうに、なぜ私のところに?
と思う。
なぜ?と言えばフランスの大手高速列車製造会社のビデオ映像
をDVDにした。これも定期的に長いことやっていた。
なんでうちなんだろう?と思った。
ああ、NHKの地方局からの依頼で、あるアナウンサーの結婚式に
流すDVDの依頼があった、そっちでやらないの?と思った。
ウォルトディズニーの知人から古い映写フィルムのDVD化の
依頼もあった。ミッキーの初期の映像だった。
そうだ、ヴァンクライバーン国際ピアノコンクールで優勝した
辻井さんのお父さんがある日会社に仕事の依頼にやってきた。
辻井さん(父)が仕事でしている産婦人科で赤ちゃんの産声を
CDにして家族に渡したいという仕事だった。
これも30年かもしれない。
もう数え切れないほどの赤ちゃんの声を聴いた。
まだ数千人の赤ちゃんの声がHDDに残っているはず。
その辻井さんが最初に来た時、もちろん何も知らなかったから、
確か伸行さんも一緒だったように思う。
わかっていたらサインもらうんだったけど、優勝したのは
それよりも後だった。
個人のビデオテープはもう数え切れないくらいの数をDVDにした。
一家族から30本から200本くらいの依頼があったから。
今はもう考えるのも嫌だ。
個人の依頼のテープの中には極めてプライベートな録画
も有って、市販のビデオではなく個人的に録画したものが、
そんなものは外部に出たらほんとに大変なことになる。
依頼者はわかって依頼したのか、知らないで依頼したのか
私にはわからないので、目をつぶって全部をダビングして送っていた。
受け取った方でどうなったか私は知らない。
地方の会社や学校からの依頼はやっぱりインターネットで
見てくるんだろうけど、最初の頃はただ単にホームページを
掲載しているだけだった。それでもかなりの数の依頼があった。
毎月数百万の売り上げがあった。一人でやってるのに。
10年くらいすると同業者も増えてきて、ホームページの
アクセス管理をしないといけなくなった。
そのために毎月数十万の費用がかかった。
だんだんその費用が売り上げに合わなくなってきたので
それもやめた。
それでも結構なアクセスがあった。
それも徐々に無くなり、数年前からはお得意様以外は
あまり来なくなった。
だからやめることにした。
そういえば置き薬の富士薬品さんも先日やめることを告げた。
家にやってきて話をしたら、やはりもう31年になるらしい。
30年前からあの箱がうちの会社にあったことを思うと時間が
経つのは早いと思う。
仕事をやめてどうするのか考えはないけれど、
「何もしない」が正解だと思う。
今までは何かやりたいことがあっても絶えずお客さんからの
依頼案件があるため気になっておもうようにのんびりと
できなかった。
それがなくなるから、やりたいことを気軽にできるようになった。
だからと言って今何をしよう!ということも無い。
まあゆっくりやろう