おしいところで4年に1回の誕生日を逃した妹に電話してみた。
とても元気だった。
術後の経過はいいようだ。
声も明るくて安心した。
こういう電話はとても勇気がいる。
もしも落ち込んでいたら、と思うと電話をかける手が止まる。
それでも誕生日だったから、ちょっと遅れたけど、電話してよかった。
札幌を後に東京に車を走らせたのは確かこのあたりの時期だった。
まだ雪が降っていた。
北5条から大通りに向かう道。
丁度社長のマンションにまっすぐ向かう道だった。
見送りしないから、と言っていた友人がバックミラーの中で、雪の中手を振っていた。
それから後はほとんど前が見えなかった。
大通りから石山通りに向かって走ったはず。
真駒内のあたりを過ぎた頃は雪が激しくなってきた。
「ほんとうにこれから東京に向かうのか?」と何度も考えた。
車で東京まで走るのはもう20回目くらいだったけれど、
もう車で来ることはないだろうと思うと、
無性にあの宮の森のアパートに帰りたくなった。
今思うと、あのまま札幌に残るという選択もあった気がする。
会社はあのあと5年くらいでだめになったから、他の仕事をしていたかもしれない。
なんで東京に帰ろうと思ったのかというと、要するに何も考えていなかったから
だろう。よくできたと思う。
その頃、世の中はマイコン、パソコンの世界になって行ったから、その世界の
最初の頃に加われてよかったのかもしれないとは思う。
たぶん仕事の仕組みが劇的に変化した時代だった。
1980年から1990年の変化は2000年から2010年の何倍も大きかったように思う。
その変化を経験できてよかったと思う。
まるであっという間だったけれど。