のバス旅行は良く行った。
西から東までバスで気楽な旅だった。
一度も無理な時間計画とかは無かった。
ただ渋滞で帰りが夜中になってしまったことが1度だけあった。
でもあの時の渋滞は避けられなかったし、ほかにどうしようも無かった。
クラブツーリズムはいいツアー会社だと私は思う。
一番最初に北海道に友達(小沼)と一緒に車で行った時はまだ東北道は
出来ていなかった。矢板までさえも無かった。
それで4号線をひたすら交代で走った。
あれはもう青森も近くなった頃だったろうか、
私がサイドブレーキを引いたまま走ってしまい、途中でブレーキが全く
効かなくなってしまった。
足を踏むとペダルは何の抵抗も無くストンと床に落ちてしまった。
小沼は横で眠っていた。
私はギヤーを落として道路脇になんとか車を停めた。
小沼も気が付いて起きた。
「ブレーキがだめだ」と私が言うと、小沼は
「使い過ぎたんだろう~、何度も踏んでみな」と言う。
私はポンプを踏むように何度も踏んだ。
しばらく踏んでいると少し抵抗が出てきた。
そのうちに元のように効くようになった。
それからまた走り始めて青森を目指した。
私はサイドブレーキを解除し忘れたことを言わなかった。
小沼にはいろいろ助けられた。
小沼に運転を代わって、しばらく走っていると小沼が
「タバコ無いか?」と言う。
もう車の中のたばこは全部二人で吸ってしまったけれど、
父からもらった葉巻の箱があった。
葉巻を二人でくゆらせながら走った。
葉巻は長持ちした。
小沼の方を時々見ると居眠りしていた。
「起きろ~!」というと驚いて起きてハンドルを持ち直した。
二人ともさんざん居眠り運転をした。
あの時生きて帰れたのが不思議なくらいだ。