7/01/2015

柿崎さんのこと

柿崎さんは、仲間で会社を作った時ソフトをやっていた。
彼は私の唯一の同い年の友達だった。
彼は野太い声で話をした。
いつもおかしなことを言って私を笑わせていた。
大きな工場の機械の下で一緒に徹夜もした。

会社を変わって彼とは別の会社を始めた。
彼は確かソフト関連の会社に移った。
数年は会うことはなかったけれど、知人からは一緒にスキーに行ったとか聞いていた。
また彼は元同じ会社にいた女性と結婚して子供もできたと聞いていた。

それで、どうしてるだろうかと、彼の新しい家に電話してみた。
奥さんが出た。
「ああ、元気ですか?」彼女は言った。
「カキちゃんいます?」私は聞いた。
「え?」そのあと暫く沈黙があった。どうしたのかな、と思った。
「本当に聞いてないの?」彼女は言った。ちょっときつい感じだった。
「なんで? どうした!?」私は全くわからなかった。

それから彼が心筋梗塞で急逝したことを知った。
暫く声が出なかった。
泣いた。
電話の向こうで「一度会いに来て」と言っていた。

その後、同じ会社をやっていた人を誘って、彼と一緒に彼の家に行った。
仏壇にあった写真は何かの冗談のように思えた。

同い年の日本人の友達は彼が最後だった。
あの時、まだ30台だった。