私が初めてアメリカに行った時は羽田空港だった。
それからしばらくして成田が国際空港になり羽田は国内のみになった。
でも、最近はまた海外便も使えるようになったようだ。
昨日は夜中に目が覚めて眠れなくなったので、
コマツがアメリカに旅立った日のことを思い出そうとしていた。
あの日どういう風に彼に別れを告げたのか全く思い出せない。
いろいろなシーンとごっちゃになってどれが彼だったのかわからない。
しかし忘れないシーンがある。
彼が(たぶん)ゲートの向こうに消えてから私達は空港の屋上に行った。
そこで彼の飛行機が旅立つのを見送った。
私はフェンスに手をあてて見ていた。
そのうちたまらなく淋しくなって、嗚咽しながら号泣した。
彼が行ってしまった悲しみもあったけれど、何かが終わったという気持ちが強かった。
まるで下手な映画のラストシーンを見るように泣いた。
となりにいたモチが「ちょっと~止めてくださいよ~」と笑って言いながら
私よりも激しく泣き出した。
女性達がいた。誰だったのか思い出せないが、
私達の肩に手をあてて、みんなで固まって泣いた。
考えてみると、まだ22か23だった。
ああいう別れは人生で初めてだった。
私もすぐに学校を卒業して社会人になる頃だった。
あれが「青春」の一つの時代の終わりだったのだろう。