について前に書いたとは思う。
そう、ボーイソプラノについてだ。
Cai ThomasがヘンデルのLascia ch'io piangaを歌っているYouTube動画。
これは奇跡だと思う。
何が奇跡かって、まず彼の声だけど、これは他の人では出ない。
さらに彼が12歳だったということだ。
私が思うにはボーイソプラノの最高の声は12歳しか出せない。
悲しいことにCai Thomasはこのあと1年くらい経ってから
歌っている声はもうこの声ではない。
たぶんこの声がでるのは1年かせいぜい2年間しかない。
13歳になると声変わりしてしまうし、
11歳以下だと子供の声だ。
ボーイソプラノはただ単に高い声が出るということではない。
高い声を出せる大人の男はいくらでもいる。
でも少年でなければこの声は出ない。
だからほぼ1年間しかこの声は出ない。
日本人や外国人のボーイソプラノをたくさん聞いたけれど、
Cai Thomasのような声はいない。
音域は同じかもしれないが、声がまるで違う。
このYouTubeの動画は奇跡の記録だ。
私も10歳から11歳まではボーイソプラノだった。
その時の感覚を覚えている。
高い声はどこまでも出た。
三鷹に居た時、小学校の音楽の先生に綺麗な声だと言われた。
大阪に引っ越して音楽の授業で歌った時、先生も周りの皆も
綺麗な声と言ってくれた。
また東京に戻って(小学校6年)初めて皆の前で歌った時も
皆が綺麗な声と言ってくれた。
でもそれも数カ月だった。
2学期の頃にはもう高い声は出なかった。
それどころか歌をうまく歌えなかった。
まるで声の出し方がわからない感じだった。
それが変声期だった。
あとはずっと高い声は出せなくなってしまった。
だからたぶんあれも1年かそこらだったのだと思う。
ボーイソプラノだったのは。
その頃の声が残っていたらと思う。
確か小学校5年の時にラジオ局の人が来て作文を読んで
それが放送されたのだけど、
そんな音ももう残っていないだろう。
ボーイソプラノはたったの1年間なのだ。