札幌到着の日は午前中雨だった。ちょうど着いた頃に止んだようだ。
雨雲に突っ込んで行く時の景色が好きだ。
機体はがたがたと揺れ始めるけれど、柔らかい雲の中に埋もれて行く感じが好きだ。
次の日はまた札幌から千歳に戻った。
今回千歳には4回行くことになってしまった。
千歳のオリックス・レンタカーのカウンターでレンタルバイクの連絡バスを申し込む。
なぜか最初、カウンターの女性に英語で話しかけられた。
たぶん東南アジアの人に見えたのだろう。
今回が初めてではなかった。
バスはほとんど中国人だった。
オリックスのレンタカーショップについて皆レンタカーのカウンターに向かっていたが、
私だけレンタルバイクのカウンターに向かう。
そこでヘルメットを借りて、その他手続きをしてバイクをチェックする。
大きなのはいやだったので、250のアメリカンを予約していたが、バイクは思ったより大きかった。
たぶん400と同じ大きさだ。
しかも重い。
これは以前も同じ系列のレンタルショップで借りたことがあるけれど、初めてだった。
バイクはYAMAHAのDS250。
形は古風だけど機器類はちゃんとしてる。
座ってみると十分低い。
セルを回すと低めのサウンドが気持ちいい。
しかしこれはシングルではない。
「行ってきます!」とショップの人に言って、
シフトペダルを蹴り下ろす。
ゴツンという振動。
クラッチをつなぐと意外に緩やかな発進だった。
でも、いつものころだけれど、走り始めはアチコチにふらつく。
坑道に出てアクセルを吹かすと、あの腰を押される気もち良い加速感。
サイドミラーを直し、やっとここでメーター類は何があるのかわかった。
ウィンカーもリセットが付いている。今はみんなそうなのだろうか。
脇道から6車線の道路に出る。
ただただ、気もちいい。
千歳駅前で左折する。
この道は昔はこんなじゃなかった。
昔はビルなど無かった。
しばらく走って高速をくぐるとあとは昔のままの森林を抜ける道だ。
この道は起伏があって、真冬はいい気になって走っていると凍結で止まらなくなる。
当然だけれど、ハンドルに固定したカメラでは振動がすごい。
支笏湖に近づくにつれて気温が下がってくる。
支笏湖に着いた時にはもうすっかり冷えてしまっていた。
やっと向こう側にたどり着いた時には死ぬかと思うくらい。
なにせバイク用のジャケットが夏用だったので風よけにはならない。
そこのお店(もう100回近く行っているはずなのに一度も入ったことがなかった)に入って
暖かいウドンを食べた。
普段だったら特に美味しいとは思わない観光地のウドンだったけれど、その時は
とても美味しかった。とにかく温まった。
そこからオコタンペへ行こうと思い、山を登って行ったけれど、オコタンへの分岐点が
通行止めになっていた。崖崩れだったようだ。
しかたなくモーラップの方へ行くことにした。
そのころには太陽も出てきて少し寒さが和らいでいた。
途中の樽前山の向かい側の駐車スペースに停めて写真を撮っていたら、停まっていた観光バスの
運転手ともう一人、男の人が声をかけてきた。
話してみるとその一人はついこの前まで横浜にいたそうだ。
そこから千歳へお客を乗せに行くそうだった。
275号に出て、そこから湖岸を美笛の方に走った。
途中のトンネルがまた非常に寒かった。
二つ目のトンネルで折り返して戻ることにした。
途中キャンプ場の方への脇道に入って行きどまりまで走った。
そこの森がとてもきれいだった。
地面はコケや草で覆われていて、湿地のように見えた。でもたぶん乾いていたのだろう。
バイクを返すにはまだ早かったけれど、千歳空港に戻ることにした。
暗くなってから帰るのは不安だったから。
千歳の街に出るとさすがに車が多い。幹線道路は大型トラックが頻繁に走っている。
そういう道を走るのは久しぶりだった。
とても緊張した。
でも無事に空港に戻ってバイクを返すことができた。
バイクは3年ぶり。その前は30年ぶりだった。